来月の参院選に国民民主党から出馬表明するも、不倫した過去を蒸し返され、猛バッシングを受けてきた山尾志桜里氏(50)がとうとう記者会見を開いた。8年間の沈黙をいよいよ破るのか――。会見場には70人余りの報道陣が駆けつけたが…。
人が変わったかのような謙虚な言葉で始まった会見 6月10日午後3時半、永田町の第一議員会館大会議室。山尾氏は緊張した面持ちで現れ、まずは深々と一礼した。服装は紺のスーツに白のブラウス。“謝罪会見”に相応しい出で立ちである。「山尾さん、こっちお願いします」とカメラマンたちの要求にも気前よく応じた後、こう口火を切った。
「なるべく多くの方に、できる限り質問が尽きるまで、私も丁寧に真摯に対応したいと思っています。それは私が現職の議員時代に欠けていた姿勢だと思っているからです」
どんなに非があろうとも頑なに説明責任から逃げ続けてきた過去の行状を振り返ると、人が変わったかのような言葉である。そして冒頭約20分間、 “地球5周分”と言われたガソリン代の不正使用疑惑、議員パスの不正使用疑惑、そして不倫問題について語り始めたのであった。
「山尾志桜里」は健在「(ガソリン代不正使用疑惑について)13年前のこととはいえ、自分の監督責任はどこにあったんだろうと改めて考えました。当時、私自身は政治につてもあまりありませんで、落下傘候補だったので…しっかりとした事務所体制を取らないままに…」
「2017年、指摘を受けた私的な件については、当時の自分の行動、ご指摘を受けた時の対応、極めて未熟だったと心から反省しております。8年前の自分には大変おごりがあったと思います」
話し方はこれまでと違って丁寧かつ謙虚なのだが、ガソリン代は以前と変わらず「秘書のせい」で、「私生活」については肝心の不倫をしたか否かには答えようとしない。結局、国民が最も知りたい不倫についてはやはり語らないつもりなのか――。会見場に暗雲が立ち込め始める中、質疑が始まったが、やはり「山尾志桜里」は健在だった。
「不倫」の追及がはじまったが… 質疑のトップバッターはフリー記者の白坂和哉氏。
――当時、山尾さんは相手方の男性と男女の関係はなかったと答え、質疑も応じず、その場を去って行きましたが、今回、男女の関係だったと認めるんでしょうか。それとも認めないんでしょうか。
「白坂さん、ご質問をありがとうございます。8年前の件ですが、大変申し訳ありませんが、当時、お話した以上のことを…。申し訳ありません。どうしてもこの場で、新しく言葉を紡ぐことをどうかご容赦いただければと思います。それぞれの色々な思いの方がいらっしゃいますし、いろいろなお立場があります。そう言う中で、私が今新たにお話すればさまざまなご迷惑をおかけすることになると思います…」
――相手方の奥さんが自ら命を絶たれているんですよ。国政議員として立候補する資格があると思いますか。
「大事なご指摘、ありがとうございます。本当に本当に、大事なご指摘で…。申し訳ないんですが、今ご指摘のことについて私は事情を存じ上げません。そういう中で、何か今私がこの場で思いを皆さんに伝えることがどうしてもできません。さらにいろいろなお立場の人にご迷惑をおかけしてしまうのではないかと」
重要な回答を引き出した「アークタイムズ」の尾形聡彦氏 当然、こんな説明では誰も納得するわけがない。次の記者から「遺児になったお子様のことを考えていますか」「政策に『人に優しい政策作り』とあるが、相手の奥さんを死に追いやるような人なのに矛盾しないか」と質問が飛んだが、
「本当に申し訳ないんですが、今この場でそのことを口にすることはいろいろな立場、色々な方々の思いを…」「本当に私は事情を存じ上げないのです。今、この場でお話をさせていただくことは控えさせてください」と逃げの一途。
そんな中、重要な回答を引き出したのは「アークタイムズ」の尾形聡彦氏であった。
――山尾さん、あなたは8年前に不倫を否定しましたが、あなたはこの場でも否定し続けるんですか。嘘をつき続けるんでしょうか。我々は国会議員を選ぶという選択をするのです。国会議員の資質として非常に大事な話なので、不倫関係にあったのかなかったのか、はっきり答えてください。
「8年前の会見で言ったこと、それはそのまま事実でございます」
この期に及んで「不倫関係はなかった」とハッキリ言ったのである。その後も「立候補する資格はあるのか」と追及が続いたが、山尾氏は「さまざまな方の立場、ご事情、色々な方々の思いを…」とテープレコーダーのように繰り返すばかりであった。
山尾氏と望月記者は「アニー友達」 そんな中いつもと様子が違ったのは、東京新聞の望月衣塑子記者だった。
――すみません、東京新聞の望月です。今の男性陣の質問聞いていても、玉木さんと元グラドルとの不倫問題以上に厳しい質疑になっているのは、私自身、山尾さんを尊敬する部分がありましたので、やはり男性以上に女性が厳しく追及されることに違和感は持っているんですが、一方で、さまざまな山尾さんの素晴らしい政策とか国会質疑を見て、私も応援していたところがありました。やはり多くの方が、世論調査にも出ていますが、かつてのことに関して関係している、傷ついている方、亡くなられた方に対しての言葉、どれほどのものを持っているかと言うことを、正直、非常に言いづらいのはわかるんですが、本当の気持ちの部分を聞いて…。 質問が長くてとっちらかっているのは毎度のことだが、珍しく聞き方が優しいのである。「一人2問まで」のルールも遵守。一回指された後は挙手しないの異例づくめだ。いったいどうしたのか――。
東京新聞の同僚が苦笑してワケを語る。
「2人は仲がいいんですよ。山尾さんの方が一歳年上ですが、東京学芸大学附属大泉中学、東京学芸大学附属高等学校と中高が一緒。しかも、小学校時代はお互い劇団をやっていて、望月は地元の児童劇団、山尾さんはミュージカルという違いはありますが同じ『アニー』で主役を演じていた共通点もあるのです。女性誌の企画で対談もやっていますしね」
そんな理由で追及が甘くなる望月記者のジャーナリズム魂はいかがなものかと思うが、それはさておき、山尾氏への批判が今回の会見でさらに火を噴くのは間違いないだろう。当然、それは国民民主への支持にも影響する。玉木雄一郎代表はこのまま一蓮托生で沈みゆく道を選ぶのだろうか。
デイリー新潮編集部