“最上あい”名義でライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー活動をしていた佐藤愛里さん(22)が、東京・高田馬場の路上で刺殺された事件。逮捕されたのは栃木県の職業不詳・高野健一容疑者(42)で、供述や裁判記録などから佐藤さんとの間に“金銭トラブル”が生じていたことがわかってきた。
「事件は3月11日午前10時ごろ、佐藤さんが配信を行ないながらJR高田馬場駅付近を歩いていた時に発生。高野容疑者がサバイバルナイフのような凶器で襲撃し、佐藤さんの『助けて!』という声や、血だらけで倒れている姿も生配信された。
佐藤さんは首や頭部などを刺され意識不明の状態で救急搬送された後、死亡が確認されました。警視庁は、現場にいた高野容疑者を殺人未遂容疑で現行犯逮捕しています」(全国紙社会部記者)
NEWSポストセブン取材班は、3月12日に配信した記事「〈オレも愛里なしじゃ生きていけない〉高田馬場刺殺事件・人気ライバー“最上あい”さん(22)と高野健一容疑者の“親密LINE”《裁判資料にあったスクリーンショット》」で、2人の間にあった金銭トラブルについて詳報している。
裁判記録に記されていたのは、高野容疑者が佐藤さんに対して複数回にわたって金を貸していたこと、その貸付金の返金を求めて裁判を起こしていたこと、容疑者は消費者金融に借金をするなど経済的に困窮していたこと。トラブルは深刻だったようだ。
そして一方の佐藤さんも、容疑者に出会う直前に複雑な事情を抱えていたことがわかってきた──。
◆裁判資料に残されていた「母子の記録」
宇都宮地方裁判所栃木支部に残る裁判記録によると、高野容疑者が配信を見て佐藤さんを知ったのが2021年の冬。2022年には佐藤さんが勤務する飲食店を高野容疑者が訪ねたことで、2人は急速に距離を縮めていった。いつしか高野容疑者は、佐藤さんの要求に応じて、定期的に金銭を貸す関係になった。
裁判で返却を求めた総額は「2514800円」だった。2023年の頭に佐藤さんが3万円を返してから、2人は連絡が取れなくなったという。
この資料には、2人が出会う際の佐藤さんの状況についても記されていた。
佐藤さんは2021年、18歳の時に第1子を出産。当時は未婚だったと見られる。2023年時点では、ある母子支援施設に住所を定めていた。この施設はパートナーからDVや虐待を受けた母子も受け入れている。
前出の全国紙社会部記者はこう解説する。
「近年はライバーとして稼げるようになっていたようですが、当時はシングルマザーとして経済的に困窮していた可能性はある。そういった状況で容疑者に出会い、借金を重ねるに至ったのではないか」
その母子支援施設を訪ねると、担当者は「施設の特性上、どなたが入居していたかはお答えすることができません」とした。
犯行の様子が配信され、社会的に大きな影響を及ぼしている凄惨な事件。その背景を明らかにすべく、捜査関係者の調べは続いている。